勝手にアラカルトレヴュー

【読書】と【映画】のブログ

林田学『機能性表示とノウハウカルテットで4年でビリオネアへの道』by 兄(上級食品表示診断士)

ビリオネアは著者独自の定義で、会社の利益が数年で10億円を超えている会社のオーナーをさす。

機能性表示食品制度は2015年4月からスタートしたが、ここに大きな健康食品のビジネスチャンスがあり、この波に乗れればビリオネアを目指せると著者はいう。

機能性とは、食品を摂取することで期待される効能・効果のこと。
機能性表示食品制度により、食品に対して機能性を明確に謳えるようになった。

本書では、機能性表示コンサルタントである著者がノウハウを一部公開している。

その中で一番参考になったELM理論(エビデンスリーガルマーケティング理論)を紹介する。

ELM理論は三要素から成る。
マーケティング
②リーガル(適法の)
エビデンス(科学的根拠)

ELM理論は、①マーケティング上、訴求力のある尖った表現を、②リーガル分析により薬事法※上適法な手法で、③エビデンスのバックアップによって景表法※上適法に、かつ効果的なものに磨き上げるという三位一体のマーケティング理論だ。
(※薬事法と景表法は、食品の機能性を語る上で避けて通れない重要な法律であり、ビジネス上の大きな壁でもある。)

食品の機能性をお客さんに伝えていく際は、上記のマーケティング、リーガル、エビデンスの三要素のブラッシュアップを心掛けたい。

お客さんの心に響くメッセージを考え、それを支える科学的根拠を用意し、法律に則った適切な表現で、情報発信することが肝要だと感じた。


村上春樹『一人称単数』

これは、先日発売されたばかりの、村上春樹の短編小説集です。

いきなり一つ目が、過去に付き合った女性とのクールな関係の短編で、著者のこの手の話はあまり趣味ではないのですが、せっかくなので読み進めてみました。

ありもしないコンサートへの招待状に、意味不明なおじいさんの言葉。

クラシックとジャズ。

とにかくスワローズファン。

ビートルズを愛する初恋?の女性と、その兄から聞いた彼女の死。

表の顔と裏の顔、ふたつの顔を持つ女友達。

日本語を話す猿の恋ばな。

そしてある晩の謎めいた出来事。


どれも、どこまでがホントかわらない摩訶不思議な話ばかり。

にもかかわらず、村上春樹の自叙伝的私小説のように、感じました。


一つ一つのストーリーでは、それぞれの主人公・一人称がちょっと癖ありで、個性的過ぎるように思うのですが、不思議なことに、8つのストーリーを集めて、その8つの角度から見てみると、そこに浮かび上がる人物像は、そこまで極端じゃなくなって、親しみすら感じられるのです。

凄く不思議です。

でも、人間の性格って、いろんなところがゴチャゴチャに混ざりあったり、裏表に共存したりして、複雑ですものね。
いいとこもあれば、悪いとこもあるし、温かいかと思えば、冷たいとこもあったり。
極悪人が実はいいお父さんだったり、スーパー仕事できて尊敬されてる上司が、実は自分のことではぐじぐじ悩んでばかりだったり。
時には、まだ本人でも気づいてないようなところがあったり。

これが、村上春樹の言うところの「複眼」につながるものなのかはわかりませんが、
とにかく複雑で興味深いです。


個人的には、『謝肉祭』と、『品川猿の告白』が面白く読めました。


そもそも村上春樹の小説は、謎めいたところが多すぎて、何を言いたいのかわからないことがよくあります。
「だからなんなのよ。」
と、思ってしまうことも度々で。

でも逆に言えば、読み手が好きに解釈してもよいと言うことではないでしょうか?
だから私は、勝手に解釈して、村上流の言葉遊びを、自分なりに楽しむことにしました。


貴方も、自分勝手にベストストーリーを選んでみてはいかがでしょうか?!

選考委員は貴方です!

一人称単数 (文春e-book)

一人称単数 (文春e-book)

田中央『商品企画のシナリオ発想術 モノ・コトづくりをデザインする』by 兄

モノやコトといったカタカナで強調された言葉を聞いたことのあるビジネスマンは多いと思う。
たとえば、橋はモノであり、「渡ること」が橋のコトである。モノの後ろに必ずコトがあるのだ。


モノとコトを含めた新しい生活風景(生活のしかた)のシナリオ化をデザインシナリオと呼んでいる。
デザインシナリオにより、魅力的な新しい生活から逆算した、新製品(モノ)の具体的なイメージや新製品な使われ方のイメージを得ることができる。


デザインシナリオには、2~3年先をみる「改良・改善型デザインシナリオ」と5年以上先をみる「生活創造型(提案型)デザインシナリオ」の2種がある。


デザインシナリオの実践プロセスやシナリオを書くポイントについても紹介されている。


シナリオの具体例が多く挙げられているので、自分で書くときの参考にしたい。

高橋昌一郎『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論』by 弟

最近、言語哲学から計算哲学へ、というようなことを考えていた。言語哲学が言語によって知り得ることと知り得ないことを峻別し、言語によって知り得ないことは沈黙する哲学だとすると、計算哲学は計算によって知り得ることと知り得ないことを峻別し、知り得ないことは沈黙する哲学。

考え始めたきっかけは、チャイティンが物理の法則だけでは化学や生物学の現象にくらべて情報が少なすぎるので化学や生物学の説明ができないと証明した、という話を読んだから。

その話が、AIの時代の数学はどうなるんだろう、という話と繋がって計算哲学という言葉を思い付いた。

この計算哲学をより具体的にしたくて本書を読んだ。計算哲学の良い実例はゲーデル不完全性定理だとなんとなく思っていたからだ。

本書の内容は哲学よりであまり得るところがなかったが、最近考えていたことの記録としてブログに書いておこうと思った。

『社会人のためのデータサイエンス入門 改訂第3版』by 兄

gacco (無料で学べるオンライン講座)の「社会人のためのデータサイエンス入門」の講義資料が、冊子としてまとまっている。

私も先日、gaccoで上記の講義を一通り受講した。

統計学は最強の学問である」の著者で有名な西内氏をはじめ多様な講師陣が登場する。
内容はとにかく実践的で分かりやすい。
統計学を動画で分かりやすく学びたい人にはおすすめなコンテンツだ。

なお、講義のスライド資料は無料でダウンロードできるため、冊子の購入は必須ではないが、紙媒体を好む人は買っても良いと思う。


『現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』by 兄

商品開発の仕事では、市場規模情報をよく利用する。
これから開発していく商品の儲けを予測する上での参考情報になるからだ。

既存の商品群の改良型開発であれば、その商品の市場規模は既に分かっているので、特に問題にならない。
しかし、今までにない新商品を開発していく場合、その市場規模は不明なことが多いので、自分で新たに市場規模を推定する必要性が出てくる。

そのときに役立つ方法論が「フェルミ推定」である。

本書は東大生が戦略コンサルティングファームの就活対策を意識して執筆した本だが、上記のようなビジネス利用にも耐えうる内容であった。

特に本書で紹介されているフェルミ推定の基本体系と基本ステップ(6パターン、5ステップ)は、よく整理されており、分かりやすかった。


落合陽一『魔法の世紀』

1973年に、SF作家アーサー・C・クラークは、「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」という言葉を残したそうだ。

著者は、この本の中で、
『現在のコンピューター開発の流れは、立体物をコピーする3Dプリンタ技術など、もはやディスプレイの内側だけでなく、その外側へと「染み出し」つつあります。物質が瞬く間にコピーされ、生成される。まるでこの世界自体がファンタジーになりうるような時代です。「魔法の世紀」とは、「映像の世紀」において平面で起こっていた出来事が、現実の世界へ踏み出して行く時代なのです。』
と、語っている。

また、魔法とは、それを見たとき、原理を人に意識させないものなのだという。
そういえば確かにそうだ。
ただ、びっくりしたり、感動したりするから、魔法なのに違いない。

一方、コンピューターの開発も、コンピューターを人間の環境と統一させ、コンピューターへの意識をなくさせることを目指しているそうだ。
こうしてみると、ユビキタスコンピューティングの世界観そのものが、無意識の虚構、すなわち魔法的なもののようにも思えてくる。

著者は、元々コンピューターの研究者と芸術家のふたつの顔を持っており、技術と芸術の両方を包括しながらリアルとバーチャルを駆使して、新しい芸術・メディアアートを生み出している。

進化する技術の中で、インパクトのあるアートを作り出していくことの厳しさもあるようだが、あの、手で触れられるフェアリーライトを生み出した魔法使いのような著者のことである。
きっとこれからも、科学を駆使した夢のある芸術を作り出して行ってくれるだろう。
多いに期待できそうだ。


また、この書のなかでは、コンピューターがどんどん進化していくと、人間とコンピューターはどちらが支配するようになるのか?とか、それを解決していくには、どうしたらいいのか?など、コンピューターと人間の共生についても、意見が述べられてていて、興味深い。

しかし、そんなとんでもなく素晴らしいコンピューターができた暁には、その高い資料処理や計算技術を利用して、まずは、3.11のような致命的事故を起こすことなく、生活インフラを支える方法や、贈収賄や違法ができないような選挙システムなどを作ってもらうことはできないのだろうか?と、つい思ってしまいました。

決してアートを否定しているわけではありません。
夢や魔法はいつの時代も、人々の心を動かす原動力だったと思いますから。

ただ、これを読むことで、改めて、コンピューターの技術進歩に驚き、それとともに、これからは、人間がどんな目的で、どんな意思を持ってコンピューターと共生していくかが、もっともっと重要な問題になってくるのではないだろうか?と、考えた次第です。

魔法の世紀

魔法の世紀

  • 作者:落合陽一
  • 発売日: 2015/11/27
  • メディア: 単行本