百田尚樹『ボックス!』

大阪 環状線の車内。
恵美須高校の女性教師・高津耀子が、傍若無人に振る舞う男5人、女1人の若者達の行為を見逃せず、キッと睨みつけたことから、ストーリーは始まる。
逆に彼らに絡まれて、万事休すかと思われた瞬間、そこに二人の少年が現れ、助けてくれたのだ。それはあたかも風のようであった。

後日、その少年たちが、同じ恵美須高校の生徒であることが分かった。一人は、特進クラスの生徒の木樽優紀。学費免除を受けるほど優秀な生徒。

もう一人が、ボクシング部に所属する鏑矢義平。彼は天才的センスを持ったボクサーだった。5人の若い男たちをあっという間に倒したのも、この鏑矢義平だった。

気が弱くて優等生の優紀と、ケンカ早くておちゃらけ者の鏑矢は幼馴染みで、親友であったが、優紀に屈辱的な事件が起きてしまうまでは、それぞれ別の世界に所属して暮らしていた。

しかし、優紀は、ある日同じクラスの女生徒と街を歩いているときに、中学生時代にいじめられていた不良たちに出くわしてしまい、彼らに叩きのめされてしまったのだ。
この事件がきっかけとなり、自分も強くなりたいと考えた優紀は、鏑矢が所属するボクシング部に入部することを決意する。

ボクシング部に入った優紀は、鏑矢のボクサーとしての本当の凄さを知ることになる。
圧倒的な強さの前に、自分の無力さひ弱さを嫌というほど見せつけられたが、ひたすらコツコツと地味なトレーニングを重ねていくのだった。


強すぎるがゆえに、あまり真剣に練習に打ち込むことがなく、それが原因でスタミナ不足だった鏑矢。
高校5冠を達成した無敗の最強のボクサー稲村に負けたショックでボクシング部をやめてしまったが、自らに 過酷なまでの練習を課し、着実に力をつけていく優紀の姿を目の当たりにし、再びリンクに戻ってくるのだった。

果たして、高校ボクシング界最強のモンスター・稲村を倒すことはできるのだろうか。それは優紀なのか、それとも鏑矢なのか。

このストーリーは、 鏑矢と優紀のふたりを軸に、弱小チームが成長していく姿を描いた所謂スポ根青春物語である。

縁あってボクシング部の顧問となった耀子と、優紀の2つの目線から語られる。

なんと作者の百田尚樹は、大学時代、アマチュアボクサーだったそうで、どうりでボクシングの描写が詳しい訳だ。
かなり専門的な知識を織り混ぜて、緻密に書き込んでいるが、ボクシング初心者の耀子の目を通すことによって、結果的にとても分かりやすく説明してもらえる。

そのため、ボクシングが苦手とか、わからないとか思っている私のような読者でも、充分に楽しめる。

Box!
さあ、貴方もストーリーの中で一緒にボクシングを始めませんか!?


ボックス!(上) (講談社文庫)

ボックス!(上) (講談社文庫)

ボックス!(下) (講談社文庫)

ボックス!(下) (講談社文庫)