【読書】藤田康人・三宅隆之・村澤典知『カスタマーセントリック思考』by 兄

カスタマーセントリックとは、顧客中心主義と訳されるが、消費者の言いなりになるのとは異なる。

カスタマーセントリックなマーケティングとは、消費者・顧客をよく知り、自分たちのブランド/商品の価値に、その人たちが必要とするような接点を見つけていくこと。そして、それが伝わるコミュニケーションの在り方を統合的に考えアプローチしていくことだ。

人口は減少し、市場は成熟化し、需要が右肩下がりになる今の日本において、マーケティングの革新が必要だ。

顕在化したニーズを刈り取るだけでは不十分で、消費者自身も気付いていない潜在的なニーズ(消費者のインサイト)をつかみ、商品やコミュニケーションにより、自ら需要を創造していくことが何よりも重要である。

著者らは、インサイト(本音、核心)の把握→ストーリー構築・発信→需要創造には、メソッド(主に消費者とのコミュニケーション)があるという。

こういったアプローチが必要な【背景】と実効性のある【メソッド】について、要点をまとめる。

【背景】
従来の日本企業のマーケティング(顕在ニーズへの対処)は、下記の3つの理由で通用しなくなった。

①消費者の変化
・ユーザーの高齢化および消費の成熟化による消費欲求の最小化(欲しいものは、ほとんど手に入れた日本人)

②情報の変化
・情報量の圧倒的増加(消費者はすべての情報を受け取りきれないので、情報バリアを張る。企業発情報のシェアの物理的低下。)
ソーシャルメディアや身近な人(家族・友人)とのコミュニケーション時間の増加による、企業情報への接触意欲の減退(企業発情報はノイズとみなされ、スルーされやすい)


③競合の変化
・従来からある熾烈な棚取り競争に加え、インターネット/検索・検討プロが消費者の購買意思決定プロセスに加わったことによる、市場プレーヤーの増加→競争環境の激化


【メソッド】
◆基本的な流れ
1 消費者のインサイトを調査
2 それをもとに消費者が聞きたいストーリーを作成
(その際、独占的な商品特徴から逆算したストーリー)
3 ストーリーをタイミングよく発信し、商品に対する消費者の認識を変える
4 需要創造

◆消費者とのコミュニケーションのポイント
・消費者とのコミュニケーションは、量(リーチ)よりも質(内容)が大事。また、企業が伝えたい情報をどうやって消費者に伝えるかよりも、消費者が聞きたいのは何かを把握し、伝えるのが大事。

・消費者のインサイトを洗い出し、消費者の琴線に触れ、思わず情報バリアを解いてしまうような文脈(マーケティング・ストーリー)をつくる。

・企業が届けた情報がスルーされず、自分に必要なもの/興味のあるものだと思ってもらう工夫(自分ごと化)が必要。伝える→伝わる。
自分ごと化のポイントは、その情報にベネフィットがあるかどうか。

ベネフィットがあるとは、その情報を受け取ると何か得をする、あるいはその情報を知らなかったことにより損をするということ。

マーケティング・ストーリーで需要創造
購買行動を喚起できるマーケティング・ストーリーとは、生活欲求と購買欲求の両方を喚起できているストーリーのことだ。

生活欲求とは、商品と直接関係ない、生活上の課題解決・願望実現の欲求のこと。

購買欲求とは、生活欲求を充足する最適な手段=自社商品と認識し、自社の商品が欲しいという欲求のこと。

ストーリーを考えるときの出発点は、その商品だけが持つ独占的な商品特徴にする。
そうでないと、ストーリーをつくっても最終的に需要が他に流出してしまうからだ。

買っている人の買っている理由に、ストーリーのヒントがあることがしばしばある。
買っている人が必ずたどっている文脈を見つければ、非顧客を顧客化できる可能性が高いからだ。

以上。

他にも消費者以外のステークホルダーインサイトも探る等、まとめきれないくらい有用な情報が多い。

ビジネスマン全員に読んでいただきたい一冊。
読み終えたら、マーケティングの虜になるかもしれない。


カスタマーセントリック思考

カスタマーセントリック思考