【映画】『禅 ZEN』

 鎌倉時代初期の禅僧で、曹洞宗の開祖である道元禅師の生涯を描いた作品。

 道元は、単身、宋に渡り修行を重ね、しかんたざ【只管打坐】の境地を習得して帰国した。「 只管」はただ一筋に一つのことに専念すること。仏教、特に禅宗においては、余念を交えず、ただひたすら座禅する事を意味する。

 しかし、そこまでの道のりは決して簡単なものではなかった。天童山を皮切りに、宋を行脚し、7人の高僧にまみえたが、どの人も真の仏法の伝持者とは思えない。正師探しをあきらめてかけていたおり、たまたま再会した宋の僧・寂円に、天童山に戻り、新しい住持・如浄禅師に会うことを勧められた。

 道元は、こうして初めて本当の師と出会うことができたのである。

 師との緊張の対面、心を無にして座り続け、悟りを開いていく姿が、映像で抽象的に表現されるが、それ以上に、道元を演じる歌舞伎俳優中村勘太郎が、瞬きひとつしない眼力と、凛とした佇まいで表しているのが印象的だった。

 帰国した道元を待っていたのは、乱世の中で貧困と飢餓で苦しむ人々だった。

 叡山の僧侶たちに新参者として追われ、越前永平寺にて、仏法を伝え始める。

 道元は、貴人にも、貧しい女子供にも等しく寄り添いながら、やさしい言葉で仏の教えを説いていく。

 誰もが己の心に仏を持っている。しかし、あれがしたい。これが欲しい。そうした欲のために、仏が隠れてしまっている。その仏を見つけるために、心を無にし、ひたすら座り続けるのだ、と。

禅 ZEN

禅 ZEN