【読書】原田マハ『モダン』

 モダンアートの聖地、ニューヨーク近代美術館MoMAを舞台に、そこで働く人々の夢や、哀しみ、迷い、決断等を、日常の暮らしに落とし込んで綴られた短編小説集。

 自ら、フリーのキュレーターで、カルチャーライターとして活動する原田マハならではのセンスや経験がいかされた作品たちである。

 個人的には、「私の好きなマシーン」に登場する初代館長が印象に残る。

 こんなにも、館長の意向が反映するのか!という新鮮な驚きとともに、工業デザインをアートの領域にまで導いた彼の言葉が、耳に残った。

「知らないところで、役に立っていて、それでいて美しい。そういうものを『アート』と呼ぶ」


 この短編を読み終えたら、MoMAを舞台とした著者の長編、『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』を読むことを、是非ともお薦めしたい。


モダン (文春文庫 は 40-3)

モダン (文春文庫 は 40-3)