【読書】阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』

『キャプテンサンダーボルト』は、現代日本文学のトップランナー阿部和重と当代きっての人気作家伊坂幸太郎がタッグを組んで「完全合作」したエンターテイメント小説。

 夢の一作といっても過言ではないだろう。思う存分楽しんでいただきたい。



 話は、ひょんな人違いから相葉時之が謎の外国人テロリストに狙われるところから始まる。

 相葉時之は逃げ込んだ映画館で、偶然小学校時代からの悪友井ノ原悠と再会する。

 ふたりは、蔵王御釜の水を執拗に追い求める銀髪の怪人に襲われながら、決死の逃亡をする。

 いったい何故そんなに御釜の水が重要なのか。追われながらも、水の謎を探っていくふたり。


 ことの始まりは、どうやら昭和20年第二次世界大戦にまでさかのぼるらしい。

 3月10日東京大空襲の最中、全く方向違いの蔵王山中に三機のB29が墜落したのは何故なのか。

 その後蔵王御釜エリアで広まったレンサ球菌による感染症『村上病』と、いったいどんな関係があるのか。

 はたまた、ふたりがこども時代憧れて止まなかったヒーロー『鳴神戦隊サンターボルト』の劇場版が、クランクイン直前、製作発表の段階でいきなり潰されたことは、ロケ地が蔵王御釜だったせいなのか。

 この御釜エリアがずっと立ち入り禁止だったことと関係があったのか。

 御釜の下に日本軍の最後の切り札生物兵器の研究所があったというのは本当だったのだろうか。


 本書は、時空を越えてこれらの断片的な話が絡み合い、最後にはひとつの大きな絵になり、秘められた謎が解き明かされる怒涛の大作である。