アーシュラ・K・ル=グウィン『影との戦い ゲド戦記』

 絶え間ない嵐にみまわれる東北の海につき出す山。

 それこそ、古来より数多くの魔法使いを生んだ地として名だたるゴント島である。

 その地で生まれたダニーと呼ばれる少年には、生まれつき並外れた力があり、島が敵国に攻められたとき、なんと不思議な霧を起こして村人たちを守ったのである。

 そのことが、遠くまで知れわたったことから、ダニーは、魔法使いの弟子となり、修行をすることになる。

 そして、本当の名前・ゲドを授けられた。

 この世界では、人にも物にも、本当の名前があり、その名前は秘密にされている。

 何故なら、本当の名前がわかると、簡単に魔法をかけられてしまうからである。

 ゲドは、とても優秀で、魔法学校でも、どんどん腕をあげていった。

 しかし、虚栄心と奢りから、あるとき他の学生と力比べをし、決して使ってはいけない魔法に挑んでしまった。

 そのために、ゲドは瀕死の怪我をおうとともに、己の中に潜んでいた悪の影を引き出してしまい、それからはその影に追われることになってしまうのだ。

 そこからは、ゲドと影との闘いの物語である。

 今まで、魔法ものをいくつも読んできたせいか、あれこれのシーンで、どこかで出会った感があったことは否めない。

 でも、もし小中学生のときにこの物語に出会ったていたら、きっと夢中で一気に読み終えたに違いない。

 悪と魔法使いが闘う物語。

 そしてドロドロとした闘いが繰り広げられるなか、魔法学校で親しくなった友人が、ゲドにそっと本当の名前を教えてくれるところがとても素敵な物語。


影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)

影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)