藤崎彩織『ふたご』

 これは、SEKAI NO OWARI Saoriさんの衝撃のデビュー小説です。

 主人公・夏子は、小学校時代からピアノを友達としてきた音楽少女。
 その夏子が、一年先輩の月島君と出会ったのは、中学校の吹き抜けの階段。
 その時月島君は、寒空の下の動物みたいな目をして、遠くを見つめていた。

 学校に行ったり、勉強したり、普通に頑張ったりすることができない月島君。
 でも、なっちゃん(夏子)とは、自転車でTSUTAYAに行ったり、なんだかんだ言い合いながら、いつも一緒。まるで、仲のいい兄妹のようだった。

 やがて高校にいけなくなった月島君は、お父さんの勧めでアメリカに留学したが、たった2週間で帰ってきてしまう。
 そのとき、一番の理解者だと思っていたなっちゃんに突き放された月島君は、ついに心を爆発させてしまう。

 その後、月島君が精神科に入院したことを聞き、もう二度と会えないのだろうなぁと、辛く思っていたなっちゃん

 でも、月日が流れ、ふたりはまたあっさり出会う。

 そして、今度は月島君と音楽をつくり、手作りのライブハウスづくりに向かって、右往左往しながら進んでいくことになる。

 学校には行けないけど、友達はたくさんいる月島君が、友達たちを巻き込んで倉庫で雑魚寝生活をしながら、夢を現実化していく日々。

 自分たちのことを「ふたごみたいだね」と言う月島君と、ほんとはふたごじゃないのに、苦しみや悲しみを常に共有してきたなっちゃんの心のうちの葛藤。

 音大で勉強し、楽譜をすぐに読み取り、演奏をこなしてきたなっちゃんにダメ出しをする月島君。
 楽譜も読めないのに、軽妙にリズムをとり、美しい調べを口ずさむ月島君に、ため息をつくなっちゃん



 主人公は悩みながらも、
キラキラした言葉たちをちりばめながら、夢に向かうみんなの姿を、イキイキと語ってくれます。

 作者が作者だけに、ついどこまでが本当で、どこからが創作なのかが気になりましたが、それも含めて、夢を現実化していく姿をライブ感覚で楽しめる一冊です。



ふたご

ふたご