科学のカラヴァッジョ派ブログ

ブログのコンセプトは「文学少女が物理学の本を読んだら」です。科学の恋愛至上主義。外見重視。

モーパッサン『女の一生』[訳・永田千奈] ( 光文社古典新訳文庫 )

 今回は、名作・モーパッサンの『女の一生』。

 あまりに有名すぎて、今さらあれこれ言うのもおこがましいが、主人公ジャンヌの妥協の人生ぶりには、かける言葉が見つからない。わずか3ヶ月のお付き合いで結婚した夫がとんでもない人で、夫と、甘やかした息子にひたすら翻弄されつづける。

 150年も前のことだから、女性達の立場も異なり制約も多く、身動きならない暮らしだったのだろう。そんな時代の女性の生きざまが今さら何の参考になるのか⁉と、訳者も悩まれたようだが、その挙げ句に、訳者が行き着いた言葉に共鳴した。

ー ジャンヌの感じた幻滅を私たちも多かれ少なかれ胸に抱き 「こんなはずじゃなかったのに」とつぶやきながら、生きているのではないか。「どこでまちがったのか」自問した挙げ句、運の悪さに行き着いている。
 文学には、人に夢与える力がある。だが、その一方で、夢破れた人間の姿に寄り添うこともできるのも、また文学の力ではないだろうか。そんな思いで本書と向きあうことができた。ー永田千奈


女の一生 (光文社古典新訳文庫)

女の一生 (光文社古典新訳文庫)