科学のカラヴァッジョ派ブログ

ブログのコンセプトは「文学少女が物理学の本を読んだら」です。科学の恋愛至上主義。外見重視。

加藤シゲアキ『Burn.-バーン-』

 輝かしい賞を受け、公私ともに絶好調の演出家レイジ。しかし、何故か20年前の記憶がすっぽりとぬけていて思い出せない。

 不慮の事故をきっかけに、その記憶が少しずつ蘇り始め、かつての自分が、あぶり出される。

 天才子役と騒がれながらも、公園で先輩たちにいじめられていた日々。そして、通り掛かりに救い出してくれたくれた見知らぬおじさん。

 やがて、それが、公園を牛耳るホームレスのとくさんだと知り、学校帰りに、いや学校がわりに通いつめた。

 とくさんのキテレツな仲間たちとすごしたのどかで、解放された楽しい時間。

 そして、突然訪れた彼らとの鮮烈な別れ。

 そうだ。そのあまりのショックに記憶がなくなっていたに違いない。

 少しずつ蘇る記憶を紡ぎながら、少年の時からの心の成長と痛みを振り返る。


 加藤シゲアキ本人が、きれいなもののなかにある毒やえぐみ、アクのようなものを大事にしていきたいと語っている。

 読後には、彼の言いたいことがよくわかる。


Burn.-バーン- (角川文庫)

Burn.-バーン- (角川文庫)