科学のカラヴァッジョ派ブログ

ブログのコンセプトは「文学少女が物理学の本を読んだら」です。科学の恋愛至上主義。外見重視。

岡敦『強く生きるために読む古典』

強く生きるために読む古典

岡 敦


 世の中は、鈍感なほど生きやすい気がする。

 作者は、高校生の多感な時期に、新左翼運動に関わり、友の死に直面した。
 また、両親の破産、離婚を経験し、母とふたり、負債を逃れてたどり着いた飯場生活の中で、厳しいながらも今までと違うどこか明るい世界を感じたと言う。

 そう聞くと、かなりのタフガイを思い浮かべてしまうが、これがどうして、実に繊細な人なのだ。

 そんなデリケートな人には、実に生きにくい社会だから、彼は自分のことを、「できそこない」と自称する。

 そして、そんな自分が生きていくために、古典を自分なりに解釈して、人生に対抗するのである。

 彼にかかれば、ヘーゲル弁証法も、カミュも、法然も、マルクス・アウレーリウスの『自省録』も、姿を変えて生きていくための武器になる。

 つまり彼は、生きていく力になるように、本を読むのだ。
 私には、どの解釈が正しいかどうかなんてわからないが、こういう読み方があってもいいと思う。
 生きてくための力になる読書なんて、実に頼もしいし、興味深い。

強く生きるために読む古典 (集英社新書)

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