科学のカラヴァッジョ派ブログ

ブログのコンセプトは「文学少女が物理学の本を読んだら」です。科学の恋愛至上主義。外見重視。

小川洋子『人質の朗読会』

遺跡観光を終えたマイクロバスが、山岳地帯で反政府ゲリラの襲撃を受け、乗客8人が拉致された。 廃屋の中で、人質達は生きるために朗読会を始める。 必要なのは、じっと考えることと、耳を澄ませること。 しかも、いつになったら解放されるのかという未来で…

湊かなえ『境遇』

―私たちが親友になれたのは、同じ境遇だからなのかな― 共に幼い頃親に捨てられ児童養護施設で育った過去を持つ、陽子と晴美。大学時代、ボランティアで出会った二人が友達になるのに、時間はかからなかった。新聞記者となった晴美と政治家の妻になった陽子。…

小川洋子『ブラフマンの埋葬』

ヨーロッパの村外れだろうか。緑に包まれた田園の中に、あらゆる創作活動を営む芸術家達のための場所がある。元はある出版社の社長の別荘だったが、遺言により〈創作の家〉として無償で提供されている。 大勢の人々がそこを愛し、静かな時間と新たなインスピ…

竹宮ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』

センター試験間近の高校三年生、賓田清澄は、校内でいじめられてる1年生の女の子、玻璃を目撃。ヒーローっぽく助けようとしたことから、全てが始まった。 清澄の頑張りでいじめはなくなったのに、玻璃の体のアザはなくならない。 結局ふたりは、絶対ありえ…

恩田陸『蜜蜂と遠雷』

近年注目度が高まっている芳ケ江国際ピアノコンクール。百人以上のコンペティタント達が繰り広げる、熱い二週間の闘いの幕が、今、切られようとしている。 13歳で、愛する母の急死に直面し、ピアノを弾けなくなってしまった、かつての天才少女、亜夜が、7年…

トニ・モリスン『青い眼がほしい』

"ここだけの話にしてね" これは、おとなの話に耳を傾けている子供たちに馴染み深い言葉だ。作り話や、家族や、近所の噂話をしたりするときに黒人女がいつも前置きに使う。そうやって話がはじめられるとき、これは私たちだけの話で他の人に聞かせることはでき…

小山慶太『寺田寅彦 漱石、レイリー卿と和魂洋才の物理学』

小山慶太さんの『寺田寅彦 漱石、レイリー卿と和魂洋才の物理学』のメモ。 和魂洋才の物理学。 寺田寅彦は光や原子ではなく、尺八、金平糖、椿の花、線香花火について研究した。寺田寅彦の物理学には風情がある。 寺田寅彦の口癖。「ねえ君、不思議だと思い…

原田マハ『暗幕のゲルニカ』

「芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ。」ーーパブロ・ピカソ 1937年、4月26日。内戦真っ只中のスペイン、バスク地方の小都市ゲルニカを、反乱軍とナチスドイツの航空部隊が空爆した。その惨状を知ったピカソは反乱軍と闘う共和国政府を支…

早見和真『イノセント・デイズ』

ーー「もし自分を必要としてくれる人がいるんだとしたら、もうその人に見捨てられるのが怖いんです」 「それは何年もここで堪え忍ぶことより、死ぬことよりずっと怖いことなんです」 そう繰り返す彼女は、驚くほどキレイだった。本を読み終わったとき、この言葉…

コンツェヴィッチの「自在さと危うさ」

数学者についてのエッセイ集 ( 『現代幾何学の流れ』) に載っている深谷賢治さんのコンツェヴィッチについての文章が面白かった。 「コンツェヴィッチは計算を説明するときにいつも絵を描く。その式変形には、絵で説明できる理由があり、式を直接いじってい…

木田元『新人生論ノート』

三木清が昭和十六年に『人生論ノート』を書いた。出るやいなやベスト・セラーになった。戦前のエリートの卵 ( ゆで卵ども ) である旧制高校生にとって西田幾多郎『善の研究』や阿部次郎『三太郎の日記』と並ぶ必読書となった。 三木清は死について、幸福につ…

平野啓一郎『葬送』、叙事詩。

舞台はパリ。それも、ブルジョア中心の7月王政から、市民革命、第二共和制へと、めまぐるしく移り変わりゆく激動のパリ。 サロンで時代の寵児として愛される天才音楽家ショパンとその愛人ジョルジュ=サンドのロマンスと離別、天才画家ドラクロワとの友情と…

シュレディンガー方程式と花柄模様

シュレディンガー方程式との出逢い シュレディンガー方程式を初めて見たとき、汚いなって思ったんです。今まで綺麗な方程式をたくさん見てきたから。 導出の過程がいびつだし、ルックスもスマートじゃない。あんまり好きじゃないなって。 それが、シュレディ…

詩人の量子論、高林武彦『量子論の発展史』

高林武彦 高林武彦さんは詩人で物理学者です。その詩心は、フィジカル・センチメンタルで物質情念的です。学者としては、物理学が時折見せる「不思議の国への飛躍」を生涯追求しました。 2008年にノーベル物理学賞をした南部陽一郎さんは高林武彦さんを評し…

アンリ・ルソー的物理学者広江克彦

絵画の鑑賞法 絵画を観るときまず全体を観る。そこから第1印象を受け取り、細部に目を移していく。それに対して音楽を聞くとき、いきなり全体を聞くことはできない。モーツァルトにはできたらしいが。一般には、1音1音積み重ね、最後に全体の印象が残る。 多…

時短テクとしてのマンガ勉強法。by 兄

社会人になると色々なことを勉強しなければ、なりませんよね? 仕事仲間や取引先の方と実りのあるコミュニケーションを交わすためには教養が必須ですし、海外の方と仕事をするには宗教への理解が欠かせません。 直接消費者を相手にする仕事についていなくと…

食品表示検定上級に合格するまでの勉強法。by 兄(上級食品表示診断士)

はじめに 私は大学院生1年のときに食品表示検定を受け始め、社会人2年目に食品表示検定上級に合格しました。具体的な勉強期間は、初級は1カ月、中級は3カ月、上級は2年です。他の受験生の役に立てばと思い、上級合格までの道のりを報告したいと思います。 初…

『まんがで学ぶ 世界の宗教―――日本人は無宗教? 宗教って難しくない(Business ComicSeries)』by 兄

【結論】 宗教とは、何かを信じる心である。 それがあれば、心を強く保てるものがあなたにとっての宗教だ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー宗教が何のために存在するのか?人間がいつかは必ず死ぬ存在だから、宗教は存在する。つまり、死に対する恐怖を和…

安部徹也『マンガでやさしくわかるコトラー』を読んで。by 兄

マーケティングの本質とは、相手のことをよく知り、相手の望むことを望むタイミングでやってあげることだ。 自分の望みを優先させるのではなく、常に相手が自分に何を期待しているかを理解し期待にこたえ続けるんだ。 お客様は製品を通して得られるベネフィ…

広江克彦『趣味で量子力学』について

物理学について 物理学が嫌いな人は多くて、私も例にもれずその一人で、中学生のとき万有引力の話を聞いて以来勉強してない。「2つの物体は互いに互いを引き合う」なんて理解できない。 そんな私が、みずからの意思で物理学の本を買った。みずからの、と言っ…

プラトン『ティマイオス』について

最近、プラトンが気になっています。ビックデータや人工知能の話って、もっと言うとGoogle の存在それ自体がプラトンが考えた「哲人王」の実装だなぁ、なんて思ったことがきっかけです。 そこで、プラトンについて調べたら、『嫌われる勇気』の岸見一郎さん…

セドリック・ヴィラニさん

セドリック・ヴィラニ。フランスの数学者。 業績 空間一様ボルツマン方程式の弱解の構成、空間非一様の場合の弱解の存在、ボルツマン方程式が小角度衝突の極限でランダウ方程式へ収束することの証明、エントロピー増大の速度に関する美しい結論、準統御性の…

世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語

ビジネス会話から、新聞の見出し、映画の決め台詞、ハードロックの歌詞にいたるまで、良く耳にするフレーズや決まり文句がみんなあのシェイクスピアの台詞の引用だったなんて。Age cannot wither her. 年は彼女をしおらせることはできませんよ!この言葉は、…

ボクは坊さん。

ボクはお寺で育った。高校生のとき「和尚」というあだ名がついた。複雑な気持ちがした。 進路を悩んでいたときに「高野山大学」から学校の資料が送られてきた。ページを開くと 世界で唯一の密教学科 と書かれていた。子供の頃持っていたお坊さんへのあこがれ…

大栗博司さんの物理学

大栗博司さんは1962年岐阜県で生まれ、数学者の高木貞治さんと同じ尋常中学/高校に入学しました。高木貞治さんは百科事典「プリンストン数学大全」の数学年表にフルネームで載っている唯一の日本人です。類体論を証明し、その類体論と楕円関数論を駆使して「…

空海の手話

空海が作ったゲーム 空海が今生きていたら、遊んでいるうちに悟れる音ゲーを作ったと思う。空海にはそういうゲーム感覚がある。 肉身のままの姿で仏になることを即身成仏という。空海は意密、身密、語密の三密を総動員して即身成仏を目指した。意密は意識の…

マティスの切り絵と挿絵の世界

現代芸術家の村上隆はこう言っている。絵を見る訓練を積むと、だんだん筆の痕跡から、芸術家本人の心に肉薄してゆけるようになるのです。それで色々なものが見えた後には、大抵みんなマティスの絵が好きになるのです。体と心が一体になって自由になっている…

わび・さびアヴァンギャルド

利休の「わび・さび」 千利休は、村田珠光以来、茶の湯の世界に生じてきた「わび・さび」の精神性を追求しました。しかし、利休が急速に「わび・さび」の茶に傾倒するのは遅く、六十歳で死を迎えるまでのわずか十年間のことでした。晩年の利休は、徹底的に装…

ポール・A・M・ディラック

ディラック誕生 ディラックは1902年イングランド南西部の都市ブリストルに生まれた。地元の大学で初めは電気工学を、つづいて数学を勉強し、1923年に卒業。奨学金を得てケンブリッジに入学、物理学の研究を始める。 ディラック初陣 1925年、「量子力学の基礎…

リーマンと空海

人間が「数学する」ことにおいて、最も重要な行為は「計算する」ことと「見る」ことである。 19世紀の数学者リーマンが数学をしていた時代は代数関数の計算があまりにも複雑になりすぎていた。そこでリーマンは代数関数を考える代わりに、それが住んでいる「…

セドリック・ヴィラニの数学

セドリック・ヴィラニ。フランスの数学者。専門分野は偏微分方程式、数理物理学。 ボルツマンの気体分子運動論に平衡な確率分布が存在することは100年以上前から知られていたが、平衡状態に達するか、またその速度がどうなるか、という問題は極めて困難であ…

プラトンの哲学

プラトンは前427年アテナイに生まれた。生涯独身であった。ソクラテスとは兄や叔父やいとこが親しい間柄であった。幼少の頃からソクラテスの言行は魂の内に蓄積されていた。若い頃政治を志し、そして政治に失望した。そんな頃ソクラテスが死刑になった。誰よ…

未来の思想

ダーウィンの「種の起源」の第一章「飼育栽培化における変異」にも書いてある通り、植物や家畜は人間が求める性質をもつように変化させられてきた。例えば、野生のイノシシは人間が家畜化することによってブタになった。もし進化というものを遺伝子の変異に…

望月新一の数学

「ABC予想入門」に望月新一さんの数学について以下のような記述がある。 望月新一氏の証明方法は関数体版(多項式版)に示唆されているところが大きい。多項式版abc予想の証明では「微分」が有効に使われていた。一般の関数体版でも「微分」が「小平・スペンサ…

ガロア理論読み物

ガロア/偉大なる曖昧さの理論 (双書・大数学者の数学)作者: 梅村浩出版社/メーカー: 現代数学社発売日: 2011/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログを見る「ガロア 偉大なる曖昧さの理論」の2章は自己同型群を使わない古典的なガロア理論の…

感想 アカマイ

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