本谷有希子『江利子と絶対』

本谷有希子の短編集。 三編のごく短いストーリーたちの中に、濃い本谷ワールドが凝縮されているらしい。確かに軽快で読みやすい文章に、伝えたいことがぎっしりストレートに詰め込まれている感じがする。きっとこのひとの描く舞台は面白いのだろうと連想でき…

梓澤要『荒仏師 運慶』

平安から鎌倉への大きな時代のうねりの中で、稀代の天才と讃えられた仏師・運慶が、如何に生まれ、如何に生きたか。 ひたすらに彫りつづけた、その狂おしいまでの生きざまを描いた歴史小説。 とにかく、冒頭の一ページに殺られてしまう。 わたしは美しいもの…

百田尚樹『ボックス!』

大阪 環状線の車内。 恵美須高校の女性教師・高津耀子が、傍若無人に振る舞う男5人、女1人の若者達の行為を見逃せず、キッと睨みつけたことから、ストーリーは始まる。 逆に彼らに絡まれて、万事休すかと思われた瞬間、そこに二人の少年が現れ、助けてくれ…

京極夏彦『魍魎の匣』

『魍魎の匣』は、京極夏彦の長~い長~い推理、伝奇小説。 『姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)に次ぐ 「 百鬼夜行シリーズ」の第2弾である。第49回日本推理作家協会賞受賞作。 2007年12月22日にこれを原作とする映画が公開され、さらに、2008年10月から12月までテ…

『まんがでわかる理科系の作文技術』by 兄

理系の大学院に進学することになり、レポートを大量に書く必要性がでてきた。 レポートを書くのは嫌いではなかったが、改めて書き方を確認したいと思い、「まんがでわかる理科系の作文技術」を手にとった。 この本は、木下是雄著「理科系の作文技術」を元に…

【読書】ジェームズ・アレン『「原因」と「結果」の法則 』by 兄

自宅の本棚をあさっていたら、原因と結果の法則という本が出てきた。 (原題は AS A MAN THINKETH)新入社員研修の際に、講師から勧められ購入したのだが、読まずに本棚で眠らせていたのだ。 懐かしく思い読んでみることにした。本書は1902年に書かれた本であ…

【読書】『さらさら読めるのにジワッとしみる「マーケティング」のきほん』by 兄

マーケティングの基本をおさらいしたいと思い本書を手にとった。マーケティングとは何か。 著者は「売れる仕組みを創ること」とシンプルに定義していた。マーケティングの本というと、フィリップ・コトラーの書いたマーケティング・マネジメントという本が有…

【読書】『通勤大学MBA〈11〉MOTテクノロジーマネジメント』by 兄

技術経営の分野に興味を持ち、ざっくり全体像を俯瞰したいと思い、通勤大学MBAのMOTを読んでみた。MOTとは、マネジメント オブ テクノロジーのことで、技術経営と訳される。 技術を効果的に活用して経営することを示す。技術経営の必要性を説明するキーワー…

【映画】『ブラザーフッド』

戦場跡での遺骨発掘調査団から、「イ・ジンソク」という名前入りの万年筆が見つかったとの連絡が入る。知らせを受けたイ・ジンソクが、戦争中に思いをはせながら、孫と発掘場所へ向うところから、ストーリーが始まる。 同じ韓国人同士が闘いあわなければなら…

【読書】百田尚樹『影法師』

百田尚樹初の時代小説である。 時は江戸時代。舞台は茅島藩八万石(架空の藩)。 士農工商による身分差別が当たり前の世の中で、さらに、武士の中でも上士、中士、下士の格付けがあり、上士による下士の切り捨て御免がまだ罷り通るような時代の話である。 ま…

【読書】木村 壽男『研究開発は成長戦略エンジン』by 兄

この本はいわゆる技術経営(management of technology)に関連した内容だが、著者のユニークな切り口が随所にみられる良書と感じた。著者は、一貫して「スタティックR&D(Static R&D)」から「ダイナミックR&D(Dinamic R&D)」への転換を強調している。R&Dとは、r…

【読書】『臨床栄養 society5.0時代の健康・栄養サポート』by 兄

なんとも目をひくタイトルである。 未来の社会問題(少子高齢化)と最新トレンド技術(ICT)の組合わせだからであろう。近年、政府から科学技術政策の基本指針(日本がめざすべき未来社会の姿)として、ICT(information and communication technology)の効果的な活…

【読書】藤田康人・三宅隆之・村澤典知『カスタマーセントリック思考』by 兄

カスタマーセントリックとは、顧客中心主義と訳されるが、消費者の言いなりになるのとは異なる。カスタマーセントリックなマーケティングとは、消費者・顧客をよく知り、自分たちのブランド/商品の価値に、その人たちが必要とするような接点を見つけていく…

【読書】佐々木敏『佐々木敏の栄養データはこう読む!』『佐々木敏のデータ栄養学のすすめ』by 兄

『佐々木敏の栄養データはこう読む!』 『佐々木敏のデータ栄養学のすすめ』の二冊を読んだ。これらは姉妹書である。 前書は、生活習慣病に焦点を当てていて、後書はより広範囲の各論を取り上げている。どちらも我々にとって身近な、「食・栄養と健康」につ…

【読書】高山一実『トラペジウム』

トラペジウム(trapezium)とは、オリオン星雲の中にある四つの重星。比較的若い星による星団で、非常に高温で強い紫外線を放ち、星雲全体を光らせているらしい。 「初めてアイドルを見た時思ったの。人間って光るんだって。」それ以来、どうしてもアイドル…

【映画】『天空の蜂』

1995年8月8日、最新鋭の超巨大ヘリ《ビッグB》の就航式当日。 その開発者の息子がひとり中に取り残されたまま、《ビッグB》は、遠隔操縦により突然動き出し、福井県にある原子力発電所「新陽」の真上に静止して、ホバリングを続けた。〈天空の蜂〉と名乗る…

【読書】羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

五年間勤めたカーディーラーを辞め、時々バイトしながら、家で行政書士の勉強をしている田中健斗、28才。勉強はだらだら。たまに就活をするも、断られてばかり。 母親と、親戚をたらい回しにされてきた母方の祖父との三人暮らしだが、母は悪態をつくし、健斗…

【映画】『ブルーバレンタイン』

『ブルーバレンタイン』は、一組の夫婦、ディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディー(ミシェル・ウィリアムズ)の愛の始まりと終わりを描いた、とても切ない物語。どうやら《トラウマ恋愛映画》とも呼ばれているらしい。ディーンは、シンディーのことも…

【読書】ポーラ・フィンドレン『自然の占有ーミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化』

ポーラ・フィンドレンの『自然の占有ーミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化』を読んだ。「科学史協会」から科学史関係の年間最優秀著作に与えられる「ファイザー賞」を1996年に受賞した本だ。 「ファイザー賞」のホームページを見ると魅力…

【映画】『葛城事件』

『葛城事件』は近年起こった恐ろしい事件「付属池田小事件」をべースに、「土浦連続殺傷事件」のサバイバルナイフの要素や、「秋葉原通り魔事件」「池袋通り魔殺人事件」などの通り魔的殺人をからめた、限りなく事実に近い、フィクション映画と言えるだろう…

【読書】久賀谷亮『脳が老いない世界一シンプルな方法』

『世界のエリートがやっている 最高の休息法』の著者でイェール大で学んだ米国医師・久賀谷亮が「エイジング研究」の最前線を、ストーリー仕立てで解説してくれる。マンガまでいれる必要があったのかは疑問だが、とても読みやすい一冊である。どうやら、老化…

【映画】『プラチナデータ』

舞台は近未来の日本。政府は全国民のDNAデータを極秘裏に収集し、警視庁科学捜査機関の天才科学者・神楽龍平(二宮和也)が中心となり、画期的DNA捜査システムを開発。その“プラチナデータ”と呼ばれる国民のデータを駆使し、検挙率100%の社会を、実現し…

【映画】『海街diary』

『月刊フラワーズ』に不定期で連載された吉田秋生のベストセラーコミックを実写化した映画。祖母の残した鎌倉の古い一軒家で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。 そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親の訃報が届く。葬…

【映画】『サクラダリセット』by 兄

特殊な能力者が住む町「サクラダ」を舞台に繰り広げられるミステリー映画。リセットの能力を持つ少女は、3日前に時間を巻き戻すことができる。しかし、時間を巻き戻すと、自分も含めて全員、未来(戻る前)の記憶を失ってしまう。主人公の浅井ケイ(野村周平)…

【読書】高橋弘希『指の骨』

若き異才が戦地の狂気と真実を描き、第46回新潮新人賞を受賞。 太平洋戦争中、南方戦線で負傷した一等兵が、激しい肩の痛みで目を覚ますと、そこは、島の臨時第三野戦病院だった。激戦最中の南の島の一角にもかかわらず、そこでは、時がゆっくりと過ぎていく…

【読書】朝井リョウ『武道館』

主人公は、まだブレイク前のアイドルグループ「NEXT YOU」のメンバー達。席替えをして隣に座った女の子というコンセプトのアイドルだ。 杏佳、あおい、るりか、波奈、真由、愛子の6人で、スタートしたグループだが、一周年を過ぎたばかりのころ、センターの…

【映画】『ラブ・アゲイン』

原題の『Crazy, Stupid, Love』が占めす通りの恋愛ドタバタコメディ。 主人公キャルは40代の堅実なサラリーマン。理想的な家庭を築いていると思っていたキャルに、突然妻のエミリーから同僚との浮気を告白され、離婚したいと言われてしまう。 一人アパートに…

【映画】『海よりもまだ深く』

大器だけど、晩成には程遠く、うだつの上がらないダメ中年男・良多を、阿部寛が好演。 15年前に一度文学賞を取ったきりの自称小説家は、ネタ探しという名目で、探偵事務所で働いているが、まだ夢を諦められない。 息子は可愛いけれど、養育費もろくに払えず…

【読書】堀江貴文 / 星井博文 / 三輪亮介『マンガで身につく多動力』by 兄

この本は堀江貴文さんの著書である多動力をマンガ化したものだ。すらすら読めるのに、内容は濃い。 多動力とは、いくつもの異なることを同時にこなす力のことである。 多動力を実践するためのポイントを、3点ほど紹介する。 ①ワクワクすることだけやる 人生…

【映画】『ラ・ラ・ランド』

『ラ・ラ・ランド』は、2016年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ・ミュージカル映画。脚本・監督はデミアン・チャゼル。アカデミー賞6部門受賞の話題作である。 夢追い人が集まる街、ロサンゼルス。 女優を夢見て映画スタジオのカフェで働く…